過去の謎
のこり 10 回
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男は、豪華なコース料理を最後の一皿まで堪能した。しかし男は、メニューを見ることも料理を選ぶこともできず、値段も最後まで知らされなかった。それどころか男は、席に着く前に、その料理の何倍もするような額の金を渡していた。しかも、いくら渡すかを決めたのは男自身である。それでも男は文句ひとつ言わず、終始上機嫌だった。なぜ?

男はある試験を受けたが、不合格だった。男は文句ひとつ言わずに引き下がると、参考書を開くことも、問題を解く練習をすることも、誰かに教わることもないまま、数日後に同じ試験を受け直した。すると今度はあっさり合格。試験の内容も合格基準も前回と全く同じで、男が前回の答えを覚えていたわけでも、カンニングなどの不正をしたわけでも、体調が回復したわけでもない。男はなぜ合格できたのだろう?

日曜の夕方、駅の改札前。母は娘に、手作りのおかずをぎっしり詰めた紙袋を持たせると、「ちゃんと食べるのよ。気をつけて帰りなさい」と言った。母の家と娘の家は、電車で3時間も離れている。ところが娘は、そのわずか10分後には自分の部屋の冷蔵庫におかずをしまい終えていた。娘は電車にも車にも乗っていない。いったいなぜ?

女が幼い頃から、彼はいつもそばにいた。ある日、女は彼を連れて、遠くの町へ最後の旅に出た。列車の中、女は彼とともに車窓の景色を眺めた。目的地に着くと、女は彼に「今までありがとう」と告げ、彼を残して一人で帰った。悲しいはずなのに、帰り道の女の足取りはどこか軽かった。なぜだろう?

平日の昼下がり、女はエプロンをつけてフライパンの前に立ち、餃子を焼いていた。焼き上がった餃子を皿に並べると、そばから次々となくなっていく。それでも女は一つも口にせず、誰の注文を聞くでもなく、夕方まで何時間も同じ餃子だけを焼き続けた。すべてを片付け終えたとき、女はとても満足そうだった。いったい何が起きていたのだろうか?

毎朝、家を出る間際になると、男は台所や窓辺、玄関を回りながら、何かに向かってひとつひとつ短く声をかけていく。家の中にはもう誰もおらず、ペットも飼っていない。声をかけた相手から返事が返ってきたことは一度もないが、男はまったく気にしていない様子で、すべて済ませると晴れやかな顔で家を出ていく。男はいったい何をしているのだろう?

一人暮らしの息子の部屋を訪ねてきた母に、男は鍋から味噌汁をよそって出した。男は料理がほとんどできず、人に出せるものといえばこの味噌汁くらいだ。一方、母は三十年間ほぼ毎日台所に立ってきた料理上手。その母が味噌汁を一口すすると、しばらく黙り込み、やがて「お願いだから、私に作り方を教えてちょうだい」と頭を下げた。いったいなぜ?