過去の謎
のこり 10 回
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男は週に何度も、息子ほど年の離れた若者と向かい合い、本気で振るわれる拳を何十発も受け続けている。若者に手加減の様子はまるでなく、拳がうなるたびに鈍い音が響く。それでも男は一度も殴り返さず、身をかわそうともしない。しかも、何年続けても男の体には痣ひとつできない。いったいどういうことか?

男は毎晩9時、遠くの町で一人暮らす母に電話をかける。会話はいつも「変わりない?」「うん、変わりないよ」だけで、十秒ほどで終わる。正直、面倒に感じる日もある。それなのに男は、高熱で寝込んだ夜も、旅行先のホテルからも、この電話を一日たりとも欠かしたことがない。なぜ?

ある夏の日の朝、男ははしゃぐ子供連れであふれる人気のテーマパークに到着した。閉園時刻まで丸一日をそこで過ごしたのに、男はゲートを一度もくぐらず、アトラクションにも乗らなかった。それでも夕方、男は満ち足りた様子で、朝と同じ顔ぶれの人々と一緒に帰っていった。いったい何が起きた?

まだ夜も明けきらない住宅街。私は毎朝、男の数歩後ろをついて歩き、男が立ち寄った家を一軒残らず地図に書き込んでいる。男は私に気づいているのに、逃げも隠れもしないし、警察を呼ぶこともない。それどころか、角を曲がって私が男を見失いかけると、男のほうから戻ってくることさえある。そんな日々が一週間ほど続いたある日を境に、男は私の前から姿を消した。だが私は少しも慌てず、男を捜そうともしなかった。いったいどういうことだろうか?

プールサイドにいた男は、水の中で必死にもがき苦しむ女性に気づいた。しかし男は飛び込むことも、浮き輪を投げることも、大声で助けを呼ぶこともせず、女性に向かって静かに一言告げただけだった。その一言を聞いた女性はすぐに苦しむのをやめ、顔を真っ赤にして笑った。男は何と言ったのだろうか?